電子部品大手の村田製作所が、AI需要の爆発を見据えた巨額投資に踏み切った。同社は30日、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の生産能力を増強するため、2026年度から5年間で総額約1兆円を投資する計画を発表した。時事通信などが報じた。
投資の中身
約1兆円の内訳は、工場建設に約3500億円、生産設備に約6500億円とされる。生産能力は日本、東南アジア、中国で増強し、国内では岡山県瀬戸内市に新たな生産棟を設ける。
中島規巨社長はオンライン記者会見で「足元で拡大するデータセンター需要に対応するとともに、AIが多様な分野に展開される未来も視野に入れ、幅広い市場への供給能力を強化する」と述べた。今回の投資により、MLCC事業の規模を2025年度の約9000億円から2030年度には2倍以上に引き上げることを目指す。
なぜ今、1兆円なのか
背景はAIサーバー需要の急増だ。MLCCは電気を一時的に蓄えたり放出したりして回路内の電流を整える電子部品で、スマートフォンや自動車、AIサーバーの基板などに使われる。AIサーバー1台には1万5000〜2万5000個ものMLCCが搭載されるといい、サーバーの高性能化で電力制御やノイズ対策の重要性が増すほど、搭載数は増える傾向にある。
村田はもともと2026年4月に、2年間で約800億円の設備投資を発表していた。しかし需要の伸びは想定を大きく上回り、島根県出雲市の工場は2030年に満杯になると見込んでいたのが、今年中に満杯になる可能性があるという。生産能力の増強は待ったなしの状況だ。

業績も絶好調、通期予想を上方修正
投資の原資となる業績も好調だ。同日発表された2027年3月期の通期予想では、連結純利益を従来の3380億円から3960億円(前期比69.3%増)に17.2%上方修正した。ロイターによると、アナリスト19人の予想平均(3683億円)を上回った。AIサーバー向けコンデンサーの好調が牽引する。
売上高は前期比23.4%増の2兆2600億円、営業利益は同84.5%増の5200億円を見込む。上期(4〜9月)の純利益は前年同期比40.6%増の1861億円と、すでに過去最高ペースで推移している。
供給が需要に追いつくかが焦点
ただし、設備の納期は12〜24か月かかることも多く、新たな生産能力が本格稼働するのは2027年以降とみられる。世界シェア約4割を握るMLCCのトップメーカーがどこまで供給を増やせるかは、AIデータセンターの拡大ペースを左右する。日本発の「小さな部品」が、世界のAI革命を支える構図が鮮明になっている。
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