「ホルムズ海峡封鎖」米軍が実効支配、全面衝突の危険度MAX…世界経済は奈落の底へ

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米国は現地時間4月13日午前10時(東部時間)をもって、イラン全海域に対する全面的な海上封鎖の執行を開始した。これは、パキスタンのイスラマバードで行われた米イラン協議が、イランの核問題をめぐる決定的な対立から合意に至らず決裂したことを受けての措置である。トランプ米大統領は自らのSNSで「イランは核兵器を決して持てない。もし我々の封鎖線に近づく高速攻撃艇があれば、即座に破壊する」と警告。これに対しイランの革命防衛隊は「ペルシャ湾の安全は全ての国にとって不可分だ。どの港も安全ではない」と報復を宣言し、中東は全面戦争の瀬戸際に立たされている。世界の原油供給の約20%が通過するこの生命線の封鎖は、すでに国際原油価格を再びバレル100ドル台に急騰させ、世界経済に未曾有の混乱を引き起こしつつある

米中央軍(セントコム)の発表によると、封鎖の対象はバンダレ・アッバスやハルグ島といったイランの主要な石油積み出し港はもちろん、ペルシャ湾岸からオマーン海に至る全2400キロメートル以上のイラン海岸線全域に及ぶ。ただし、封鎖はイランとの取引を行う船舶に限定されており、第三国の港を往来する「中立通航」は妨げられないとしている。しかし、ここで「イランとの取引」の定義を巡る危険な綱引きが始まっている。トランプ大統領は、イランが通過船舶から違法な通行料を徴収している事実を問題視しており、もし船主がイランに「税」を支払った場合、その船がどこの国籍であっても標的にすると明言した。つまり、保険問題や安全確保の観点から、もはや多くの民間タンカーにとってホルムズ海峡の通過は事実上不可能になったも同然であり、現在ペルシャ湾内には約600隻もの船舶が足止めされている

軍事的に見て、この封鎖作戦は「絶対的な制海権」の掌握を目指すものの、その実効性には大きな疑問符がつく。イラン海軍の正規艦隊はこれまでの米イスラエル連合軍の攻撃で大打撃を受けたとされるが、問題は非対称戦力だ。イランの革命防衛隊海軍は、数百隻におよぶ高速攻撃艇や機雷、さらには自爆型の水上ドローンを保有しているとされ、その6割以上は未だ健在との分析がある。彼らの目的は米艦隊を撃破することではなく、「商船への攻撃をやめない」という抑止力によって海峡を「通れない海域」に変えてしまうことだ。元NATO欧州連合軍最高司令官は、米軍が封鎖を強行すれば、フーシ派が紅海で見せたような飽和攻撃の「ゲーム」がホルムズで繰り広げられると警告する。すでにイランは機雷を散布している可能性が高く、掃海作業は極めて危険で時間を要する作業となる

この地政学的リスクの顕在化は、ガソリンスタンドの価格表示を通じて、世界中の消費者の生活に直結している。イラン議会のモハマド・バゲル・ガリバフ議長は、米国のガソリン価格が1ガロンあたり4ドルを超えている現状を踏まえ、X(旧ツイッター)で「今のガソリン価格を楽しめ。バイデン政権の時のようにまた値上がりするぞ」と皮肉交じりに警告した。イランは石油の販売ができなくなる代わりに、封鎖を突破しようとする船舶に対して「通行税」を課すことで莫大な収入を得るビジネスモデルに切り替えつつあっただけに、米国の封鎖はイランにとって看過できない挑戦である。しかしイラン側も黙ってはいない。ジャスクやチャバハールなど、ホルムズ海峡の外側に位置する港を活用することで、封鎖網をすり抜ける手段を模索している

封鎖開始の引き金となったイスラマバード協議では、交渉は「紙一重」のところまで進んでいたとされる。しかしイランのアラグチ外相は、合意目前で米側が「最大限主義とゴールポストの移動」に出たと非難。これに対し米国のJ.D.バンス副大統領は「イランが核放棄の確約をしない限り、取引はない」と譲らなかった。停戦合意の実効性が依然として揺らいでいる中、イスラエルによるレバノン南部への攻撃は続いており、火種はあちこちに燻っている。パキスタンやトルコなどの仲介国は再開に向けて水面下で動いているものの、トランプ政権内には「イランが屈服するまで圧力を強めろ」という強硬派の論理が支配している。この「チキンレース」がどちらかのエンジンが止まるまで続くのか、それとも制御不能な衝突に発展するのか――世界は戦後最大の石油危機の真っただ中で、緊迫の瞬間を見守っている。

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