13年越しの「到達」宣言——日銀が「物価2%」を確認、12月利上げ確率は「80%」 暮らしへの影響は

夕暮れの日本銀行本店と上昇する物価を示すイラスト

日本銀行が10月30日の金融政策決定会合で、一時的な変動要因を除く「基調的な物価上昇率」が2%の目標と「おおむね整合的な水準」にあるとの認識を示した。2013年1月に2%の物価安定目標を掲げてから約13年越しの「到達」宣言だ。金融政策の重点はデフレ脱却からインフレ抑制へと移り、市場では12月の追加利上げを8割の確率で織り込んでいる。

「2%到達」宣言の意味

日銀は今回、四半期に一度の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表。その中で、基調的な物価上昇率について目標の2%と「おおむね整合的な水準となっている」と表明した。政策金利は現行の1.25%に据え置いた。

植田和男総裁は会見で「長い間そこを目指してきたという面では、一つの節目だ」と語った。デフレ心理の根深さについては「(人々の予想物価上昇率が)0%くらいで強くアンカー(固定)されてしまった。解きほぐすのにすごいエネルギーが必要だった」と振り返った。

今後の政策運営については「2%程度の水準で安定させていくという観点がこれまで以上に重要になる」と述べ、利上げを継続する考えを示した。市場では、金融政策の軸足が「物価を押し上げる」から「物価の上振れを抑える」へ移ったとの受け止めが広がっている。

13年の道のり——「当初2年」が「13年」に

日銀が2%の物価安定目標を掲げたのは2013年1月、当時の安倍政権との共同声明だ。同年4月に総裁に就任した黒田東彦氏のもとで「2年程度」での達成を目指し、大規模な金融緩和(異次元緩和)が始まった。だがデフレ心理は根強く、目標達成は先送りされ続けた。

転機となったのは、原油高や円安によるコスト上昇と、賃上げによる需要の高まりが重なったことだ。植田総裁のもとで段階的な利上げが進み、今回ついに「到達」を宣言する段階に至った。読売新聞は「政府と日本銀行が掲げてきた2%の物価安定目標に13年超かけて到達した。金融政策運営は、インフレ抑制に軸足を置く大きな転換点になる」と報じた。

12月利上げ観測——市場は「80%」を織り込む

今回の会合では利上げを見送ったが、次の焦点は12月の会合だ。植田総裁は「次回12月会合を含めて毎回の会合で判断していく」と語った。

報道によると、翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む12月会合での利上げ確率は、10月30日午後時点で80%に上る。

これまで日銀は段階的な利上げを重ねてきたが、次に0.25%の追加利上げが実施されれば、政策金利は1.5%程度に引き上がる。日銀が示す「中立金利」(景気を熱しも冷ましもしない金利水準)の推計値は1.1%〜2.5%。金利が1.5%程度になれば推計レンジの中心に接近し、さらなる利上げは引き締め局面への傾きを強めることになる。

暮らしへの影響——住宅ローンも食品も

政策金利は約31年ぶりの高水準にあり、住宅ローンや中小企業向け融資の金利も上昇している。今回の据え置きは、9月からの連続利上げを見送り、景気への配慮を示した形だ。

一方で家計の物価高は続く。11月には1477品目の食品が値上げされる見通しで、調味料が最多、原材料高と円安が背景にある。マヨネーズは9%、缶コーヒーは12%の値上げとなる商品もある。内閣府の世論調査では、政府に求める政策のトップが4年連続で「物価対策」となった。

スーパーの値上げ表示を見る買い物客のイラスト

企業の資金調達コストが上昇すれば、賃上げの勢いがそがれる可能性もあり、日銀は「景気と物価を丹念に点検し、利上げ時期を判断」する構えだ。

今後の注目点

  • 12月の金融政策決定会合で利上げが実施されるか
  • 原油価格や円安、中東情勢、AI関連動向が物価に与える影響
  • 賃上げの持続性と、企業の価格転嫁の行方
  • 2027年度の物価見通しの引き上げ幅

植田総裁が述べたように、今後は「2%で安定させる」ことが政策の中心になる。13年かけて手に入れた2%を、どう維持していくか。その手腕が問われる局面に入った。

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