「日本人はどこから来たのか」。この問いに対し、最新のゲノム研究が驚くべき答えを示しています。私たちのDNAの8〜9割は、後から大陸から渡ってきた人々に由来するというのです。

二重構造モデル|縄文人と弥生人
長らく日本人の起源論の基本とされてきたのが、1991年に埴原和男氏が提唱した「二重構造モデル」です。
- 縄文人:約1万6000年前から列島に暮らした狩猟採集民
- 弥生人:約3000年前(紀元前800年ごろ)に稲作とともに朝鮮半島から渡来した農耕民
現代日本人は、この二つの集団が混ざり合って誕生したとする考え方です。
最新ゲノム研究|8〜9割が渡来人由来
国立科学博物館の篠田謙一館長らの研究によると、縄文時代から先住していた人々のDNAは、現代日本人には1〜2割程度しか残っていません。逆に言えば、私たちの大部分は弥生時代以降に大陸から入ってきた人々の子孫だということです。
稲作の導入とともに渡来人が人口を大きく増やし、縄文人をゆるやかに吸収していった。世界的に見ても、農耕民が狩猟採集民を吸収する例は多く、日本列島もその一例と考えられています。
一方で、現代日本人男性の4割近くに縄文人特有のY染色体の型が残っていることも判明しており、縄文人が一掃されたわけではないことも分かっています。

三重構造モデルという新説
近年はさらに踏み込んだ「三重構造モデル」も提唱されています。現代日本人のゲノムを「縄文系」「東アジア系」「北東アジア系」の三つの成分に分けて考える説です。
2021年の古代ゲノム研究や、2026年に東京大学のチームが発表した3256人分の全ゲノム解析では、東北地方に多い北東アジア系の成分が、歴史上の「蝦夷(えみし)」に対応する可能性も指摘されています。研究は今も進行中で、定説は今後も更新されていくでしょう。
私たちはハイブリッド
篠田館長は「私たちは純粋に一系統で続いてきたのではなく、いろいろな集団が混ざり合ってできたハイブリッドな存在」と語っています。4万年前にホモ・サピエンスが列島に上陸して以来、幾重もの人の波がこの島々を形づくってきました。

まとめ
日本人のルーツは、単一の祖先ではなく、多様な人々の出会いと混ざり合いの歴史でした。最新のDNA研究は、その物語を次々と書き換えています。国立科学博物館などで古代人の世界に触れ、私たちのルーツに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

