日本のアニメ産業が新たな大台に乗った。アニメ制作会社などでつくる日本動画協会は30日、2025年の日本のアニメ産業の市場規模(広義)が4兆4491億円(速報値)に達したと発表した。共同通信などが報じた。4兆円の大台を超えるのは初めてで、2015年の1兆8292億円から10年で2倍以上に膨らんだ。
海外市場がけん引、国内を大きく上回る
市場拡大のエンジンは海外だ。海外市場は2兆5426億円(前年比117.2%増)で、国内市場の1兆9065億円(前年比114.1%増)を大きく上回った。構成比は海外57.1%、国内42.9%となり、海外の存在感は年々高まっている。全体の伸び率は前年比115.8%で、市場規模と増加率がともに過去最高を記録した(協会のプレスリリースによる)。
2025年は「鬼滅の刃」の劇場版最新作など話題作が国内外でヒットし、配信やグッズ販売を押し上げた。動画配信サービスの普及で、海外の視聴者が日本の新作アニメにほぼ同時アクセスできる環境が整ったことも追い風になっている。

制作会社の売上も過去最高に
アニメ制作会社の売上を推定した「アニメ業界市場」(狭義)も5055億円(前年比108.4%増)で過去最高を更新した。Netflixをはじめとする動画配信プラットフォーム向けの需要が旺盛で、テレビアニメの制作本数の多さが売上を支えている。
今回の速報値は、10月26日から開催中の「東京国際映画祭2026」に併設されたアジア最大級のコンテンツマーケット「TIFFCOM2026」で発表された。正式な報告書『アニメ産業レポート2026』は12月上旬に刊行される予定だ。

国の「基幹産業」として期待高まる
政府はゲームやアニメなどを「基幹産業」に位置付け、コンテンツ産業の海外売上を2033年に20兆円とする目標を掲げている。アニメについては海外売上6兆円を目指す方針だ。今回の4兆円突破は、その目標に向けた確かな一歩となる。
影の部分も――「利益なき繁忙」と人手不足
好景気の一方で、現場の課題も指摘されている。帝国データバンクの調査によると、2025年のアニメ制作業界の市場規模は4065億8600万円と初めて4000億円を超えたが、人手不足や外注費の高騰で「利益なき繁忙」に陥る制作会社も多いという。2026年はメガヒット劇場版の反動で5年ぶりの縮小が見込まれるとの見方もある。
持続的な成長には、海外展開の加速と同時に、制作現場の働き方改革や人材育成が欠かせない。拡大を続ける市場が、現場の豊かさにもつながるのか。今後の動向に注目したい。
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