「防災庁」があす2日発足——デジタル庁以来の内閣直属組織、細野大臣「日本の防災を作り直す」

防災庁の司令塔となる災害対策本部のイメージ

災害対策の司令塔となる新組織「防災庁」が11月2日、発足する。内閣直属の庁の新設は2021年9月のデジタル庁以来で、首相をトップに据え、平時からの「事前防災」を推進するのが最大の特徴だ。発足初日には、細野豪志防災担当相が国民や自治体に向けた「緊急要請」を出す予定で、水や食料、携帯トイレを最低3日分、できれば1週間分備えるよう呼びかける方針を示している。

なぜ「防災庁」が必要だったのか

南海トラフ地震や首都直下地震、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震など、甚大な被害が想定される「国難級」の災害への備えが急務となっている。こうした災害では、発災直後の応急対応だけでなく、復旧・復興までを一貫して指揮できる体制が求められてきた。

従来は内閣府の防災部局が防災行政を担ってきたが、大規模災害が起きると対応に追われ、平時の対策が止まってしまうという課題が指摘されてきた。防災庁では人員を大幅に拡充し、災害が起きても事前防災の検討を止めない体制を目指す。マイナビニュースが伝えた内閣官房の説明では、防災庁の発足で「災害対応に当たる職員と、平時から防災対策を進める職員を分けることができる」のが大きなポイントだという。

組織の概要——352人態勢、首相をトップに

共同通信などによると、組織の概要は次の通りだ。

– 内閣府の防災部局を発展的に改編して設置

– 首相をトップに据え、業務を統括する防災相を新設(細野豪志復興相が兼務する方向)

– 職員定員は352人で、内閣府防災部局の約1.6倍に拡充

– 職員は国土交通省や総務省消防庁、農林水産省などからの出向者が大半を占める

– 災害発生時は応急対応から復旧・復興までを一貫して指揮

– 被災者や自治体の支援を強化し、地方機関「防災局」の設置も検討中

「事前防災から復旧・復興までの一連の災害対応を担う司令塔」として、各省庁や関係機関をつなぐ役割が期待されている。

発足初日の「緊急要請」——備蓄は最低3日分、できれば1週間分

家庭で備蓄する非常用の水や食料のイメージ

細野大臣は発足日の2日、国民・自治体・各省庁に向けて「緊急要請」を出すとしている。要請の柱は家庭での備蓄の徹底で、水、食料、携帯トイレを「最低限3日、できれば1週間」備えるよう呼びかける方針だ。細野大臣は「一言でいうと日本の防災を新しくする、作り直す。それくらいのつもりでやっている」と意気込みを語っている。

なお、細野大臣は10月29日に自身のXで、この「緊急要請」は地震などの災害の予知情報が入ったことをきっかけとするものではないと説明している。防災庁の発足を機に事前の備えを徹底するための呼びかけであり、「11月2日に何かが起きる」という予告ではない点に注意が必要だ。

避難所の現実——災害関連死という重い課題

防災庁に求められる役割の大きさを物語るのが、避難生活の厳しい現実だ。共同通信によると、一昨年元日の能登半島地震では、直接の死者228人に対し、避難生活の長期化などが原因とされる災害関連死は530人(2026年9月17日時点)に上った。

政府も一昨年12月に避難所運営の指針を改定し、1人当たり3.5平方メートルの居住スペースの確保、発災直後は50人に1基のトイレを確保する目安を示した。また、救援物資が被災地の輸送拠点まで届いても、そこから避難所まで十分に届けられない「ラストワンマイル」の解消も長年の課題となっている。こうした課題に、発災前から継続的に取り組むのが防災庁の使命だ。

なぜ注目すべきか

防災庁の発足は、日本の防災体制の転換点となる可能性がある。ただし、組織ができただけでは防災は機能しない。家庭での備蓄、家具の固定、避難先の確認といった一人ひとりの備えがあってこそ、司令塔の指示が生きる。11月5日は「津波防災の日」でもある。この機会に、わが家の備えを見直してみたい。

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