ロシアのプーチン大統領は6日、日本たばこ産業(JT)のロシア事業の資産をロシア企業の暫定管理下に置く追加的な大統領令に署名した。新たに暫定管理下に置かれたのは、JT関連会社3社の全株式など。5日の4社に続く措置で、対象は計7社に広がった。日本政府は抗議し、即時撤回を求めている。ロシア事業はJTの売上収益の約1割、調整後営業利益の約4分の1を占める最重要市場で、影響が注目される。何が起きているのかを整理する。

追加命令の内容——新たに3社、計7社に拡大
共同通信によると、プーチン大統領は6日、JTのロシア事業の資産をロシア企業の暫定管理下に置く追加の大統領令に署名した。新たに暫定管理下に置かれたのは、西部ヤロスラブリ州にある「ペレスラブリたばこ」などJT関連会社3社の全株式など。プーチン氏は5日にも、JTの世界のたばこ事業を統括する海外子会社JTインターナショナル(JTI)傘下のロシア国内企業4社をロシア企業の暫定管理下に置く命令を出したばかりだった。対象となった4社は、サンクトペテルブルクの工場を運営する「ペトロ」、ロストフ・ナ・ドヌの「ドンスコイ・タバク」、リペツク州の原料加工拠点「JTIエレツ」、レニングラード州の「クレス・ネヴァ」で、管理権はロシア企業「インダストリアル・アセッツ」に移された。2日連続の命令で、対象は計7社となった。
「一時管理」とは——所有権は残るが経営権は制限
この「一時管理」の仕組みは、2023年4月25日付の大統領令第302号に基づくものだ。欧米など「非友好国」の関係者の財産を、ロシア企業による一時管理下に置くことができる枠組みで、日本も「非友好国」に含まれている。所有権は形式上JT側に残るが、経営権の行使は制限され、事実上ロシア側が会社を動かすことになる。一時管理に期限の定めはないとされる。ロシア外務省は6日、ビリチェフスキー経済協力局長の発言として、こうした措置について「ロシアの安全保障を脅かし、ロシアの資産を違法に収用する外国による露骨な敵対的行為への対抗措置として設けられた特別な法的手段だ」と主張した。
日本政府の反応——片山財務相が即時撤回を要求
日本政府はこの措置に抗議し、撤回を求めている。片山さつき財務相は6日午前、閣議後の記者会見で、外交ルートを通じてロシア政府に強く抗議し、大統領令の即時撤回を申し入れたことを明らかにした。日本政府は5日の措置についても抗議し、撤回を求めていた。JTの筆頭株主は財務大臣、つまり日本政府で、政府はJT法に基づいて発行済み株式の3分の1超を保有している。

JTのコメント——「影響の確認を進める」
JTは6日、「詳細情報、今後取り得る対応と当社グループへの影響の確認を進める」との声明を発表した。同社は「国内外のあらゆる制裁措置・規制等を順守した上で、ロシアにおける事業運営を継続していた」とし、暫定管理に置かれる事態は想定外だったもようだ。JTは今回の措置について「ロシア政府による国有化や接収とは異なる」とするものの、現時点では今後の状況は見通せないとしている。現地工場に日本人社員は置いていないという。
ロシア事業の重み——売上1割、利益4分の1、シェア首位
JTにとってロシアは、グループの売上収益の約10%、調整後営業利益の約25%を稼ぐ最重要市場の1つだ。JTIロシアの2025年12月期の売上収益は3,923億7,400万円にのぼる。2026年7〜9月期のロシアでの市場シェアは約35.5%で首位を維持している。JTIは1999年からロシアでたばこ事業を展開し、現在はロシア国内の4カ所の工場で紙巻きたばこを製造し、約4,000人が働いている。事態が長期化すれば、JTの業績に影響が及ぶ可能性もある。
まとめ
プーチン大統領は6日、JTのロシア事業について追加の大統領令に署名し、新たに3社をロシア企業の暫定管理下に置いた。5日の4社とあわせて対象は計7社となった。日本政府は強く抗議し、即時撤回を求めている。JTは影響の確認を進めているが、売上1割・利益4分の1を占めるロシア事業の先行きは見通せない状況だ。今後のロシア政府の対応とJTの発表が注目される。
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出典:共同通信、産経新聞、東京新聞の報道をもとに編集部が解説。出典リンク:https://www.47news.jp/15197905.html、https://www.sankei.com/article/20261106-GJM42N4RFNIGPDAH5VI6UBH4QQ/?outputType=asynd、https://www.tokyo-np.co.jp/article/526617

