初代ホンダNSXが、1億6000万円級のレストモッドとして現代に蘇ります。イタリアのJASモータースポーツと名門カロッツェリアのピニンファリーナが手を組んだ限定35台のプロジェクト「JAS Tensei(テンセイ)by Pininfarina」の市販仕様が公開されました(intensive911、トップギア・ジャパン、2026年10月)。パリモーターショー2026での世界初公開を前に明らかになった、その内容を解説します。
「Tensei(転生)」プロジェクトとは
「Tensei」は日本語の「転生(Rebirth)」に由来する車名で、オーナーが用意した初代NSXのドナー車をベースに、フレームを残して一から再構築されるコンプリート・レストモッドカーです(intensive911)。生産台数は世界限定わずか35台にとどまります。
注目したいのは、このプロジェクトがホンダ本体によるものではない点です。ツーリングカーレースなどでホンダと関係の深いイタリアのレーシングファクトリー・JASモータースポーツが、イタリアの至宝ピニンファリーナ、そして英国の名門エンジン開発会社ジャッド・パワー(Judd Power)とタッグを組み、往年の名車を現代に再解釈する独立系の取り組みです(同)。
VTECを捨てた420psの自然吸気V6
心臓部には、ホンダのオリジナルである3.0リッターV6(C30Aブロック)をベースに、Juddが徹底的に再構築した自然吸気V6が鎮座します。報道によって排気量の表記に幅がありますが(3.4Lとも3.5Lとも伝えられています)、最高出力は414hp(約420ps)、許容回転数は8,500rpmに達し、6速マニュアルトランスミッションと組み合わされます(intensive911、トップギア・ジャパン)。
驚くべきは、ホンダの代名詞である可変バルブタイミング機構「VTEC」をあえて排除し、固定タイミングのレーシング・バルブトレインを採用したことです。独立スロットルボディ、カーボンファイバー製のインテークプレナム、インコネル製エキゾースト、ドライサンプ方式を備え、1990年代のグランプリエンジンを思わせる高回転の咆哮を目指しています(トップギア・ジャパン)。オリジナルの初代が253psから294ps程度だったことを考えれば、約1.7倍のパワーアップです(同)。
1,250kgのカーボンボディとポップアップライト
ピニンファリーナが設計したフルカーボンボディにより、乾燥重量はわずか1,250kgに抑えられました(intensive911)。アクティブディフューザーも採用され、ボディはオリジナルより少し幅広く、少し長くなっています。
初代NSXの象徴であるリトラクタブル・ヘッドライト(ポップアップライト)はしっかりと受け継がれています。衝撃センサーとチタン製リンク機構を備えた、サーボアシストによる超高速の開閉システムが特注品として採用されました(トップギア・ジャパン)。
シャシーまわりも手抜きがありません。アルミニウム構造はAピラー、Bピラー、センタートンネルが補強され、新しいサスペンションジオメトリと4ウェイ調整式のKW製ダンパー、四輪のブレンボ製カーボンセラミックブレーキが装備されています。電動パワーステアリングは「純粋なアナログフィールを提供するように」チューニングされました(同)。
価格は88万ユーロ、約1.6億円から
気になる価格は、ベース車・税別で88万ユーロ(約1億6000万円)からと発表されています(intensive911)。ドナーとなる初代NSXはオーナー側が用意する形で、車体価格だけで1.6億円という特注の一台です。
1,000馬力を超えるハイパーカーが溢れる現代において、このプロジェクトは「軽さ」と「純粋な内燃機関」の価値を静かに突きつけています。最新の衝突安全基準や電動化とは無縁の、職人の手による究極のアナログ・スーパースポーツといえるでしょう。
初代NSXとはどんなクルマだったのか
初代NSXは1990年に登場し、軽量なアルミモノコックボディと扱いやすく官能的なミッドシップレイアウトで世界中を魅了した金字塔です(intensive911)。アイルトン・セナが開発に携わったことでも知られ、その構造と使い勝手、デザインで称賛されました(トップギア・ジャパン)。
興味深いのは、このプロジェクトの原点ともいえる存在です。初代NSXの原型となったオリジナルの「HP-X」コンセプト(1984年発表のミッドシップスポーツカーのプロトタイプ)を手がけたのが、ほかならぬピニンファリーナだったのです(トップギア・ジャパン)。ピニンファリーナが40年以上の時を経て、自らのデザインに「転生」の手を加える——まさに原点回帰の物語です。
まとめ:転生したNSXの今後を見守ろう
「JAS Tensei by Pininfarina」は、初代NSXの軽快でダイレクトな走りの美学を損なわず、現代のスーパースポーツ市場で対等以上に渡り合えるパフォーマンスとエレガンスを付与することを目標に開発されました(intensive911)。35台という希少性も相まって、納車後の姿が楽しみです。
パリモーターショー2026での世界初公開の模様や今後の続報は、自動車メディアでチェックできます。日本の名車が世界で再評価される姿を、ぜひ見守りましょう。この記事が参考になったら、クルマ好きの友人にも共有してください。

