フランスの防衛大手タレスが、日本で防衛装備品の保守や運用支援を手がける拠点を新設することが分かりました。海外の防衛大手が日本にこうした拠点を設けるのは初めてとみられ、日本の防衛産業にとって大きな転機となりそうです。(日本経済新聞)

新設する拠点|装備の保守・運用支援を担う
タレスが新設する拠点では、防衛装備品の使用状況の確認や不具合の診断などを手がけます。当初は海上自衛隊向けの装備を重点対象とし、ゆくゆくは陸上自衛隊や航空自衛隊向けの装備にも対象を広げる計画です。
すでに今夏、東京の日本法人に20人の専門チームが発足しており、拠点の候補地の選定を進めています。2030年までに40人体制に拡充する計画だということです。
タレスのパトリス・ケーン会長兼CEOは日本経済新聞の取材に対し、今回の拠点新設について「日本の防衛への長期的な関与に向けた節目になる」と述べています。
国内生産も|2027年から迫撃砲「2R2M」を日本で
保守拠点の新設とは別に、防衛装備品の日本への生産移管も進めます。陸上自衛隊向けの迫撃砲「2R2M」の生産を、提携先の日本製鋼所に移管する計画で、2027年から日本での生産を始める予定です。
製造を含む装備のライフサイクル全体への関与を強めることで、日本での事業基盤を固める狙いがあります。将来的には、日本がアジアなどに向けて完成品を輸出する拠点となる可能性もあるとされています。

背景にあるもの|継戦能力の強化を急ぐ日本
タレスが日本への本格進出に踏み切る背景には、日本政府が有事を見据えた「継戦能力」の強化を急いでいることがあります。年内に予定されている安全保障関連3文書の改定では、継戦能力が主要な論点の一つとなっており、防衛装備品を国内で安定的に調達できる体制づくりが盛り込まれる方針です。
タレスは、進出先の国に生産や保守の拠点を置く「マルチドメスティック戦略」を掲げています。ケーン氏は、現地に根ざした防衛産業の基盤が「各国の主権を育む要素」になると説明し、日本の防衛産業のエコシステムへの関与に意欲を示しました。
技術協力の分野
ケーン氏が日本との協力分野として挙げたのは、レーダーやソナーといったタレスが性能面で優位性を持つ技術です。タレスはすでに自衛隊向けに装備品を供給しており、今回の拠点新設で関係をさらに深める形となります。
防衛産業の変化|海外大手の参入が相次ぐ
海外の防衛大手による日本への本格参入は、タレスだけではありません。ドイツのラインメタルなど欧州大手の日本参入も報じられており、日本の防衛市場への関心が高まっています。
日本政府は今年4月、防衛装備品の輸出基準を緩和し、殺傷能力のある武器についても条件付きで輸出できるようにしました。こうした政策転換も、海外企業の日本進出を後押ししているとみられます。

今後の注目点
- 拠点の場所と規模:候補地の選定が進行中。2030年までに40人体制へ拡充予定
- 2027年の生産開始:日本製鋼所での迫撃砲「2R2M」生産が計画通り始まるか
- 安保3文書の改定:年内に予定され、継戦能力の強化方針がどう盛り込まれるか
- 輸出への展開:日本がアジアなどへの完成品輸出拠点となる可能性
防衛装備をめぐる国際協力は、私たちの安全保障に直結するテーマです。海外大手の参入が日本の防衛産業や技術基盤にどんな変化をもたらすのか、今後の動向に注目していきましょう。
まとめ
フランスの防衛大手タレスが、日本に防衛装備品の保守・運用支援拠点を新設します。海外防衛大手として初の動きで、2027年からは迫撃砲の国内生産も始まる予定です。継戦能力の強化を目指す日本にとって、供給網の安定化につながる重要な一歩となりそうです。

