10月11日の朝、愛知県豊田市の住宅の玄関先で50代の男性がクマに襲われ、頭などにケガをして病院に運ばれました。命に別条はないとのことですが、同じ日の朝には北海道や福島でも出没情報が相次ぎ、10日には兵庫県豊岡市でクマが緊急銃猟されるなど、全国各地で緊張が高まっています。東海テレビや読売テレビなど各地の報道をもとに、今起きていることを整理し、環境省や自治体が呼びかける対策をまとめました。
全国で相次ぐ出没――この数日の動き
まず、この数日に確認された主な動きを見ていきます。
愛知県豊田市(11日朝):午前7時20分ごろ、豊田市小原北町の住宅の玄関先で50代の男性がクマに襲われ、頭などにケガをして救急搬送されました。意識はあり、命に別条はないということです(東海テレビの報道、警察の発表による)。豊田市内では今月3日に小原地区で防犯カメラにツキノワグマが映っていたほか、今年度の目撃件数は今月9日時点で48件にのぼり、昨年度の同じ時期より増えているといいます。
北海道函館市(11日朝):午前6時20分ごろ、函館市赤川町で走行中の車の前を体長1メートルほどのクマが横切りました。近くの住宅まで約100メートルの距離で、警察やハンターが出動して警戒に当たっています。人的被害や建物への被害は報告されていません(HBC北海道放送の報道)。
福島県郡山市(11日未明):午前3時半ごろと午前5時15分ごろ、郡山市熱海町の路上で、新聞配達をしていた40代の男性が体長約0.5メートルのクマを目撃しました。周辺での被害は確認されていません(テレビユー福島の報道)。
兵庫県豊岡市(10日夕):10日午後4時ごろ、但東町奥矢根地区の住民から「民家横の柿の木にクマがいる」と連絡があり、市は午後5時38分に市長の判断で緊急銃猟を決定、午後5時40分に実施しました。駆除されたのは成獣のメスのツキノワグマで、体長約75センチ、体重約40キロでした。兵庫県内の緊急銃猟は今月9日の丹波市に続いて2件目です(読売テレビの報道、豊岡市の発表による)。
山梨県笛吹市(9日朝):9日午前9時ごろ、芦川地区の民家の庭にクマ1頭がいるのを住人が目撃しました。被害はありませんでしたが、10月は冬眠前のクマがエサを求めて最も活発になる時期だと市は注意を呼びかけています(YBS山梨放送の報道)。
「緊急銃猟」とは何か――市街地のクマへの新たな対応
豊岡市で実施された「緊急銃猟」は、2025年9月に始まった制度で、市街地などに出没したクマを迅速に駆除するための仕組みです(YBS山梨放送の報道による)。制度開始以降、発砲を伴う緊急銃猟は全国で93件行われていますが、山梨県内ではまだ例がありません。
そうした中、山梨県甲府市はこの時期を選んで緊急銃猟の訓練を初めて実施しました。市が今年3月に策定したマニュアルに沿って、緑が丘スポーツ公園周辺に出没したクマが球技場に移動してこう着状態になったという想定で、市長による実施判断から県・市の職員、警察官、猟友会のメンバーによる役割分担や発砲までの手順を確認しました。甲府市農林振興室の山本伸二室長は「山間部もあるが都市部も抱えている。活発になるときにいつでも備えられるという意味でこの時期を選定した」と話しています(YBS山梨放送の報道)。
山にいるはずのクマが市街地や住宅の玄関先に現れる――。もはや山だけの問題ではなくなっていることが、今回の一連の動きからも分かります。
遭遇しないために――環境省・自治体が呼びかける対策
では、私たちはどう備えればよいのでしょうか。環境省の「クマ類の出没対応マニュアル」や、自治体が配布する注意喚起リーフレットが示すポイントを整理します。
クマを寄せ付けない工夫
- 農作業や山歩きの際は、ラジオなど音の出るものを携帯し、自分の存在をクマに知らせる
- クマの行動が活発になる早朝・夕方の作業では、特に周囲に気を配る
- 頻繁に出没する地域では、できるだけ単独での行動を避ける
- 生ゴミや野菜・果実の廃棄残さ、収穫後の放置果実は適切に処理・除去する
- 収穫物の収納庫は施錠するなど、クマのエサになるものを管理する
柿の木にいたクマが駆除された豊岡市の事例が示すように、庭木の実もクマを引き寄せる原因になります。収穫しない果実は早めに取り除くことが大切です。
万が一、遭遇してしまったら
- 落ち着いて、クマに背を向けず、ゆっくりとその場から離れる
- 大声を出したり、走って逃げたりしない(クマを驚かせ、追いかけられる原因になります)
- 至近距離で襲われそうになった場合は、頭や首を守るようにうずくまって防御態勢を取る
- 十分に距離を取った後、近くの家や店に助けを求め、自治体や警察に目撃情報を報告する
政府広報として文部科学省と環境省が連携して公開した児童生徒向けの啓発動画では、子どもでも覚えやすい「3つのお約束」が紹介されています。「どこにクマがいるかチェックする」「みんなでにぎやかに通学する」「見つけたら静かに逃げる」という内容で、登下校中の安全確保に役立つと注目されています(2026年6月のマイナビニュースの報道による)。
今日からできること――家族と地域で情報を共有する
10月は、冬眠を控えたクマがエサを求めて一年で最も活発に動く時期です。被害に遭わないための第一歩は、まず「自分の地域で何が起きているか」を知ることです。お住まいの自治体が公表しているクマの出没情報や注意報をチェックし、家族やご近所と共有してください。
お子さんがいるご家庭では、登下校のルートに目撃情報がないかを確認し、「見つけたら静かに逃げる」という約束を今日のうちに話し合っておきましょう。山歩きや農作業の予定がある方は、鈴やラジオの用意を忘れずに。正しい知識が、あなたと大切な人の命を守ります。

