農林水産省は10月30日、集荷業者や卸売業者が抱えるコメの在庫量が9月末時点で255万トンとなり、9月末として過去最多になったと発表しました。前年より58万トンも多い水準です。「令和の米騒動」と呼ばれたコメ不足から一転、今やコメ余りが鮮明になっています。農水省は、備蓄米の追加買い戻しなど対策の検討を進めていますが、コメ余りの長期化への懸念が広がっています。
在庫は過去最多、新米の契約は過去最低
農水省の発表によると、集荷業者や卸売業者が保有するコメの在庫は9月末時点で255万トン。前年より58万トン多く、9月末として過去最多となりました。
一方で、今年の新米について業者間で結ばれた販売契約は66.9万トンにとどまり、この時期としては過去最低でした。豊作で新米の価格が下がり、高値で仕入れた古い在庫の販売が滞る——いわゆる「逆転現象」が起きていることが背景にあります。
コメ余りは長期化か —— 農水省の需給試算

農水省がまとめた2027年(27年7月〜28年6月)のコメ需給試算では、28年6月末の民間在庫量は最大257万トンになると見込まれています。適正量とされる180万〜200万トンを依然として大きく上回り、コメ余りが長期化する可能性を示唆しています。
需要量は27年で693万〜710万トンと、26年(693万トン)と同程度かやや上振れすると想定。高関税を支払って輸入してきた約10万トン分が価格下落で国産米に回帰し、主食用米の海外依存から脱却できるとの見方も示しています。
政府の対策 —— 備蓄米の追加買い戻し案が浮上
こうした状況を受け、農水省内では、年明けにも備蓄米を追加で約10万トン買い戻す案が浮上していることが分かっています。政府はコメ不足を受けて昨年3月以降、備蓄米およそ59万トンを放出しましたが、その後25年産米の生産が需要を上回り、民間在庫が過去最高水準に膨れ上がったため、農業関係者から早期の買い戻しを求める声が上がっていました。
9月には備蓄米21万トンを買い戻す手続きを開始しており、追加の買い戻しが実現すれば、在庫の引き締め効果が期待されます。農水省は今後、長雨の影響などによる需給状況を見極めて、具体的な時期や量を決めるとしています。
価格はどうなるか —— 「逆転現象」と新米価格
スーパーの平均販売価格は5キロあたり2000円台まで下がり、一時期の4000円台半ばからは大きく下落しました。新米の価格が旧米を下回る「逆転現象」も起きており、流通の停滞への懸念も出ています。
高米価でコメの売れ行きが鈍ったことなどが在庫の積み上がりにつながったとみられ、農水省の試算では26年産米の生産量が需要を大幅に上回る見通しです。
今後の注目点 —— 需給バランスの行方
コメ不足からコメ余りへ。この1年余りで市場は大きく振れました。備蓄米の追加買い戻しが実現するか、そして需給バランスが回復に向かうのか。今後の農水省の対応に注目が集まります。

