政府は、年内に改定する国家安全保障戦略などのいわゆる「安保関連3文書」で、「防衛と経済の好循環」を重視する柱の一つに位置づける方針を固めました。防衛装備品の生産力の強化や海外への移転の推進などを担う新たな法人を設立し、防衛産業の基盤強化に政府全体で取り組む考えです。一方で、大幅な増額が見込まれる防衛費の財源をめぐっては、有識者会議で「増税も排除すべきでない」といった意見が出ており、年末の改定に向けた議論が大詰めを迎えています。
「新しい戦い方」への対応が3つの柱の一つに
10月27日に開かれた改定に向けた有識者会議で政府側は、改定で重視するポイントとして、AIやサイバーなどの「新しい戦い方」への対応、持続的な対応能力の強化、そして「防衛と経済の好循環」の3つを挙げたとしています。
「防衛と経済の好循環」とは、防衛関連の投資を経済成長のエンジンにもする考え方です。防衛装備品の調達や技術開発を通じて国内の製造業や技術基盤を育て、経済の力で防衛力を支える循環を目指すとみられます。
政府はこの実現に向け、初めて「防衛産業基盤戦略」を策定する方針も示しました。国内の生産基盤の強化や防衛装備品の海外移転の推進などを担う法人を新たに設立し、防衛産業基盤を抜本的に強化するとしています。
財源をめぐる議論 —— 「増税も排除すべきでない」

ただ、最大の焦点は財源です。27日の会議では、今後大幅な増額が見込まれる防衛費の財源をめぐり、出席者から「歳出の見直しを行った上で、なお不足する分については増税も選択肢として排除すべきではない」という意見が出たということです。
また「国債発行を前提とせず、安定財源を確保すべきだ」といった声も上がりました。一方で、法人税増税への経済界の懸念も強く、財源論は「綱引き」が続いています。
年内改定へ —— 焦点は「どこまで踏み込むか」
現行の安保3文書は2022年12月に岸田内閣が閣議決定したもので、防衛費と関連経費の5年総額を43兆円とし、2027年度にGDP比2%に達するよう目指すとしました。高市政権はこの改定を前倒しし、年内の閣議決定を目指しています。
NHKの報道によると、政府は31日時点で「防衛と経済の好循環」を改定文書の重要な柱の一つに位置づける方針を固めています。防衛装備品の生産力強化や移転推進などを担う新法人を設立し、政府全体で防衛産業基盤の強化を図る考えです。
なぜこのニュースが重要か
安保3文書の改定は、今後数年にわたる日本の外交・防衛の基本方針を決める大きな転換点です。「防衛と経済の好循環」という新しい柱が具体的にどのような政策につながるのか、そして巨額の防衛費をどこから賄うのか——。年内の改定に向けて、政府の説明責任がますます問われることになります。

