宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日未明、火星の衛星「フォボス」から砂を持ち帰る探査機「MMX(エムエムエックス)」を打ち上げます。打ち上げは20日午前4時41分3秒(日本標準時)を予定し、鹿児島県の種子島宇宙センターから行われます。火星の衛星への着陸や試料採取、火星圏への往復航行は、成功すればいずれも世界初となります。時事通信や産経新聞などが伝えました。
火星の衛星「フォボス」の砂10グラムを採取
MMXは火星の二つの衛星のうち、内側を約6000キロで公転するフォボス(直径20〜30キロ)を目指します。有機物や水を含み、小惑星探査機「はやぶさ2」が砂を持ち帰った小惑星リュウグウと組成が似ているとされます。その起源は、小惑星が火星の重力に捕まった「捕獲説」と、原始火星への天体衝突で生じた破片が集まった「衝突説」が有力ですが、まだ決着していません。試料の分析で決着がつけば、地球や火星に水や有機物が供給された経緯の解明にもつながると期待されています。
はやぶさ2の技術を継承、世界初の挑戦
MMXは高さ約5.3メートル、太陽電池を広げた幅は約9メートル、重さ約4.5トンで、日本の探査機史上最大です。火星周回軌道への投入を担う「往路」、観測や着陸、試料採取を行う「探査」、試料カプセルを備え地球まで航行する「復路」の3つのモジュールからなり、約1年後に火星周回軌道へ投入された後、2029年に2回の着陸と試料採取に挑みます。地球帰還は2031年の予定で、はやぶさ2と同様に試料カプセルをオーストラリアの砂漠地帯で回収する計画です。JAXAを中心にNASAやESAなど世界の研究機関が連携する国際プロジェクトでもあります。JAXAの川勝康弘プロジェクトマネジャーは9月の記者会見で「準備は万全な状態で進んでおり、打ち上げが待ち遠しい」と期待を口にしました。
日本の技術が世界に挑むプロジェクトは宇宙だけではありません。JR東海が自動運転を搭載した次期新幹線「S0系」を発表するなど、技術立国の挑戦はさまざまな分野で続いています。

