障害者50人が「1年半のはず」が9か月で雇用終了 調剤大手子会社で何が起きたか

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調剤薬局大手「アインホールディングス」の子会社に雇われていた障害者約50人が、事前に「1年半の育成プラン」と説明されていたにもかかわらず、雇用から9か月で事実上打ち切られていたことが、読売新聞の10日の報道で明らかになりました。約50人もの障害者が「期間短縮」の上で一斉に退職扱いとなるのは異例だといいます。確認されている事実関係を整理し、背景にある課題を考えます。

確認されている事実関係

読売新聞の関係者への取材で分かっている経緯は次の通りです。

雇用までの経緯:この子会社は、全国で「さくら薬局」を展開する「クラフト」(東京都千代田区)で、昨年8月にアインホールディングス(東証プライム、札幌市)に買収されました。同年10月、クラフトは障害者雇用ビジネスの業者「サンクスラボ」(那覇市)の仲介を受け、自社とその子会社で計約50人の障害者を雇いました。障害者らはサンクスラボのオフィスや在宅で勤務していました。

事前の説明:障害者らは就職前に、サンクスラボから企業ニーズに合わせて1年半の育成を行う「キャリア開発プラン」と説明されていました。一方、書類上の雇用期間は6か月で、契約更新は「あり得る」、更新の上限は「定めなし」などと記載されていたといいます。

雇用終了の通知:ところが契約更新前の今年3月上旬ごろ、サンクスラボの担当者から次の雇用期間は3か月となり、6月末で雇用が終了すると伝えられました。新たな契約書では、次回更新が「なし」に変更されていたといいます。精神障害のある40代男性は「半年ごとの更新で少なくとも1年半は働けると思っていた」と話し、ショックで出勤できなくなり、まもなく退職したということです。

各社の説明:直接の雇用主であるクラフトは取材に対し、雇用終了は「障害者と同じ環境で働くという(アインホールディングスの)方針が判明したため」とした上で、退職した人の再雇用を検討していることを明らかにしました。一方で、業者から「1年半」とは聞いていなかったとしています。サンクスラボは「弊社の契約者とその従業員との契約に関することで、回答を控える」としています。

読売新聞は、直接の雇用主であるにもかかわらず就労管理などを業者任せにする一部の雇用ビジネスのあり方が、こうした事態を招いた可能性があると指摘しています。なお、各社の説明には食い違いがあり、経緯の全容解明はこれからの段階です。

「業者仲介型」の障害者雇用ビジネスとは

今回のケースで使われたのは、障害者の働く場を雇用企業に提供する「障害者雇用ビジネス」と呼ばれる仕組みです。企業が障害者を雇用する際、採用や就労管理の一部を外部の業者に委ねる形態で、法定雇用率の引き上げを背景に利用が広がっているとされます。

本来、雇用主には働く人への説明責任と安定した就労環境の確保が求められます。しかし今回のように、実際の就労管理や事前説明を業者が担い、雇用主である企業との間で認識のずれが生じると、働く人が不利益を被るリスクが高まります。書面では「6か月・更新あり得る」、口頭では「1年半のプラン」――この食い違いが、50人もの人々の生活設計を揺るがせたのです。

制度の目的は「安定した就労の継続」

障害者雇用促進法のもと、企業には障害のある人の雇用が義務づけられ、法定雇用率は段階的に引き上げられてきました。企業の採用意欲は高まっており、朝日新聞社グループが主催する「障がい者のための就職・転職フェア」のように、障害のある求職者と企業をつなぐ取り組みも各地で開かれています。

ただ、雇用率の数字を満たすことと、働く人が安心して長く働き続けられることは別の問題です。今回の「キャリア開発プラン」という名前が示すように、育成と定着こそが本来の目的だったはずです。雇用が9か月で打ち切られ、ショックで働けなくなった人が出たという事実は、制度の運用実態を改めて問いかけています。

働く人の安心を守るために――今できること

障害のある方が就職する際は、雇用期間や更新の条件、仕事内容について、口頭の説明だけでなく書面で必ず確認することが大切です。説明と書面に食い違いがある場合は、その場で質問し、納得できるまで確認しましょう。

すでに働いていて不安を感じている方は、一人で抱え込まず、ハローワークの障害者専門窓口や、お住まいの地域の障害者就業・生活支援センターなどに相談してください。労働条件に関する相談は、労働基準監督署の総合労働相談コーナーでも受け付けています。

企業の側にも、業者に任せきりにせず、雇用主としての責任を果たす姿勢が求められます。今回の事案の経緯解明と再発防止の取り組みを、私たち一人ひとりが注視していくことが、働く人の安心につながります。

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