2026年10月30日(日本時間31日未明)、アメリカ・ジョージア州アトランタで開かれたG20外相会合にあわせて、茂木敏充外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が会談した。ロシア極東サハリン州で拘束された北海道新聞の日本人記者、今井裕紀さんの即時解放を茂木氏が強く求めたのに対し、ラブロフ氏は対ロシア制裁の解除を要求した。外相同士の正式な対面会談は2021年9月以来、約5年ぶりだ。
約30分の会談、焦点は記者の解放問題
外務省の発表によると、会談は現地時間10月30日午後1時35分から約30分間行われた。読売新聞の報道では、茂木氏はサハリン州でロシア連邦保安局(FSB)にスパイ容疑で拘束され、モスクワに移送された今井記者の即時解放と人道的な配慮を強く求めたという。
ウクライナ情勢についても、茂木氏は「公正かつ永続的な平和」の実現に向けて前向きな対応を取るよう求めたとされる。また、今年8月にプーチン大統領が北方領土の択捉島を初訪問したことに抗議し、2020年から途絶えている北方4島での元島民による墓参の再開を申し入れた。
一方、ロシア外務省によるとラブロフ氏は「本格的な対話再開には、日本が非友好的な政策を放棄することが必要だ」として、日本の対ロシア制裁の解除を要求した。ロシア側の発表には、道新記者の拘束に関する言及はなかったという。
拘束された道新記者とは
今井さんは今月13日にサハリン州でFSBにスパイ容疑で拘束されたと、ロシア側が発表した。ロイター通信などの報道によると、ロシア当局は今月に入り、この日本人記者をスパイ容疑で拘束したことを明らかにしていた。10月26日には在ロシア日本大使館員がモスクワの拘置所で領事面会を行い、今井さんの無事が確認されている。
茂木氏は会談に先立ち、米国のルビオ国務長官とも意見交換し、記者の拘束をめぐってロシア側を非難した米国務省の対応への謝意を伝え、「自国民保護で協力していきたい」と述べた。

「意思疎通の継続」では一致、解放の見通しは不透明
AFP通信の報道によると、両氏は「日ロ関係が厳しい状況にある中でも、意思疎通をしていく」ことで一致したという。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、日露関係は大きく悪化しており、今回の会談は緊張した関係の中での数少ない直接対話の機会となった。
ロシアのインタファクス通信は、会談は日本側の要請で実現した「短い話し合い」だったと伝えた。一部の分析では、ラブロフ氏の姿勢は記者解放に向けた具体的な譲歩とは解釈できないと指摘されており(※佐藤優氏のインテリジェンスレターによる分析)、即時解放が実現するかどうかは依然として不透明だ。
今後の焦点は、ロシア司法手続きの行方と、日米欧の連携した外交圧力の効果、そして北方領土問題を含む日露関係全体の行方となる。拘束された日本人記者の安否と早期解放に向けた動きから、目が離せない状況が続く。

