米OpenAIが進める新たな資金調達をめぐり、目標額が当初の300億ドルから200億ドルへ引き下げられたと、英Financial Times(FT)が10月30日に報じた。米Wall Street Journal(WSJ)の続報では、投資家から確保した出資約束は約110億ドルにとどまり、一部の大口投資家の反応は「乏しい」と伝えている。TechCrunchがこれらの報道をまとめて伝え、OpenAIに取材を申し込んだが、報道時点で回答は得られていないという。いずれもOpenAIの正式発表ではなく、金額や状況は報道ベースのものであり、今後の続報で変わる可能性がある。
調達計画はどう変わってきたのか
ブルームバーグが9月末に「評価額1.4兆ドルを前提に300億ドル規模の資金調達を交渉中」と報じて以降、条件は段階的に後退してきた。10月22日にはCNBCが、評価額が1.25兆ドルに調整されたと伝えている。今回のFT報道によると、資金調達の目標額は200億ドルに引き下げられ、最初に確定する分(ファーストクローズ)はさらに低い水準になるとみられている。
報じられた数字の整理
WSJが報じた約110億ドルの出資約束は、当初の300億ドル目標の半分にも届かない水準だ。修正後の200億ドル目標に対しても、約90億ドルの差が残っていることになる。ただしこれは出資の「約束」であり、全額が入金済みであることや、最終的な調達額が確定したことを意味するものではない。FTは「目標を下げたことで成功の基準は下がるが、確保した資金が計画全体の実現を証明するわけではない」との見方も伝えている。

参加が見込まれる投資家
FTによると、今回のラウンドはアラブ首長国連邦(UAE)の投資家グループが主導し、その後に富裕層やファミリーオフィスを対象とした追加募集を行って合計を200億ドルに積み上げる構想だという。参加が見込まれる投資家として、Founders Fund、Coatue、Sequoia Capital、Andreessen Horowitzといった著名ベンチャーキャピタルの名前も報じられている。いずれも報道ベースの情報であり、OpenAIからの正式な発表は確認されていない。
なぜ縮小されたのか
TechCrunchは背景として、米株式市場でのAI関連株の売りを挙げている。AIインフラへの巨額投資に対する投資家の警戒感が強まり、私募の資金調達にも影響が及んだ格好だ。FTの報道では、今回の調達プロセスはAI株への熱狂の中で始まったものの、市場の急反転に巻き込まれたと関係者が語ったと伝えている。WSJは、一部の大口投資家が十分な関心を示さなかったと報じている。

AI業界の「収支」が問われる時代に
興味深いのは、同じ週にAnthropicがIPOの目論見書を公表し、上半期の売上高が前年同期の約14倍となる約163億ドルに達した一方、巨額の純損失も明らかになったことだ。AIの需要そのものは拡大を続けているが、その成長を支える設備投資を誰が、どの条件で、どの程度のリスクを引き受けて実行できるのか——。今回のOpenAIの調達縮小は、AI業界の競争の軸が「技術力」だけでなく「資金調達力」や「財務の持久力」に移りつつあることを象徴する出来事だといえる。
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今後の注目点
調達はまだ完了しておらず、追加募集の行方や最終的な調達額が焦点となる。報道の数字はあくまで関係者の話に基づくもので、OpenAIが最終条件を正式に発表するまで確定的な評価はできない。今後の続報に注意が必要だ。

