1994年(平成6年)4月23日午前、東京都三鷹市と武蔵野市の境にある井の頭恩賜公園で、女性清掃員がゴミ箱の中のポリ袋から人の足首を発見しました。その後の捜索で、公園内の7つのゴミ箱から27個に切断された遺体の一部が見つかり、近隣に住む一級建築士の川村誠一さん(当時35歳)の遺体と判明しました。発見されたのは全体の約3分の1にすぎず、頭部や内臓は今も見つかっていません。2009年4月23日に公訴時効が成立し、未解決のまま捜査は終結しました。(日本語版ウィキペディア、産経ニュース)
発覚の経緯 新宿駅で同僚と別れた後、消息不明に
川村さんは1994年4月21日夜、JR新宿駅構内で旧知の同僚と別れたのを最後に消息不明となりました。翌22日、家族が武蔵野署に行方不明届を提出しています。23日午前10時55分頃、公園の清掃員の女性が、猫にやる餌を探してゴミ箱のポリ袋を開けたところ、人の足首を見つけて事件が発覚しました。遺体の指の側面に残っていたわずかな指紋と骨から採取したDNAから、3日後に身元が特定されました。発見場所はいずれも井の頭恩賜公園内のゴミ箱およびその周辺でした。(日本語版ウィキペディア、未解決事件の分析記事)
「22センチ」の異常な律儀さと周到な準備
遺体の各部位は約20~22センチ間隔で、関節や臓器を無視するように切断され、血液は一滴残らず抜かれていました。手足の指紋と掌紋も鋭利な刃物で削り取られていました。この長さは、公園内のゴミ箱の投入口の深さとほぼ一致します。司法解剖を担当した法医学者の佐藤喜宣氏は2020年の回顧で「犯人は事前にゴミ箱のサイズを調べ、遺棄場所を下見していた可能性が高い」と指摘しています。遺体を包んでいたのは「タンカルパック」と印字された東京都推奨の半透明ポリ袋と食品用の水切り袋の二重構造で、内容物の臭気漏れを防ぐ特殊な結び方で包まれていました。事件発覚前日には、若い男性2人組がこの袋を100枚まとめて購入していたとの情報も寄せられています。(日本語版ウィキペディア、産経ニュース、東洋経済オンライン)
死因は不明のまま 複数犯説の根拠
司法解剖では、遺体の胸部の筋肉内に強い打撃による出血が認められましたが、この打撃が死因であるかどうかは明らかにされず、死因そのものは不明とされています。死因の判定に必要な頭部と内臓が見つからなかったためです。また、遺体の切断方法には少なくとも3つのパターンがあり、複数犯による犯行ではないかとの見方も出ました。一方で、被害者の交友関係からは犯人像が全く浮かばず、物証と情報の不足から捜査は難航しました。(日本語版ウィキペディア、未解決事件の分析記事)
捜査の壁 サリン事件で捜査本部は解散
事件発生後、警視庁捜査一課が捜査本部を設置して捜査に当たりました。しかし事件から約11カ月後の1995年3月20日、オウム真理教による地下鉄サリン事件が発生。警視庁捜査一課の本事件の捜査員もオウム真理教事件に招集され、本事件の捜査本部は解散となり、三鷹署に単独で引き継がれました。その後、捜査一課が本事件を担当することはありませんでした。犯人と動機の特定には至らず、事件は2009年4月23日午前0時に公訴時効の成立を迎えました。2010年4月に殺人罪などの公訴時効が廃止されましたが、本件は廃止前に時効が完成していたため、新法は適用されませんでした。(日本語版ウィキペディア)
諸説として語られる「人違い説」(未確認の説)
時効から6年後の2015年、デイリーニュースオンラインは「被害者は人違いで殺害された可能性がある」との証言を報じました。吉祥寺で外国人露天商の縄張り争いが起きる中、被害者と顔も背格好も年齢も瓜二つの男性(Aと記される)を狙っていた某国の工作員が、被害者をAと間違えて殺害したという内容です。ただし、同記事は信憑性が高くないとされ、事件直後から週刊誌で語られていた「都市伝説」の一つとの見方もあり、懐疑的な見方が存在します。いずれも確定的な証拠に裏付けられたものではなく、あくまで未確認の説として語られているにすぎません。犯人像も動機も明らかになっていないのが事実です。(日本語版ウィキペディア)
なぜ「平成の怪事件」と呼ばれ続けるのか
遺体処理の異常なまでの律儀さと、身元特定を妨げる工夫の数々。穏やかな日常を象徴する公園のゴミ箱に、切断された遺体が捨てられていたというアンバランスさが、世間を震撼させました。事件は桐野夏生の小説『OUT』のモデルになったことでも知られ、被害者の父親は1995年に『心事の軌跡』を自費出版しています。吉祥寺という人気の街の負の記憶として、32年経った今も語り継がれています。(映画チャンネル、日本語版ウィキペディア)
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